残存歯と生涯医療費との関連性

生涯医療費とは、一生涯にかかる医療費の総額を言います。年齢を重ねるにつれて医療費は増える傾向にありますが、実は残っている歯の数が多いほうが医療費を抑えることができるのです。では今回は気になる生涯医療費と歯の関連性に着目してみました。

 

・残存歯とは

残存歯とはご自身の歯のことで、被せ物をしている歯や根っこだけになっている歯も残存歯として数えます。インプラントの場合は人工歯根でありご自身の歯の根っこではないため、残存歯として数えません。ブリッジで歯のない部分も当然、残存歯としてみなされません。

 

・生涯医療費が多くなるのは、主に70歳以降

一概には言えませんが、若いうちは健康であっても年齢を重ねるにつれて病院を受診するようになってきます。生涯医療費のうち半分は70歳まで、残り半分は70歳以降に多くかかるというデータも存在しています。

70歳くらいになると体の健康に異常が出てくることが多く、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を患っている人は少なくありません。

お口の中の状況も体の健康と比例するように、70歳以降になると歯周病が進行して歯を残すことができなくなってくるなど、体の健康と同じように様々な影響が現れやすくなります。

 

■残存歯が多いことで得ることとは

残存歯が多いことは、お口の中の健康に良い影響を与えるだけでなく、生涯医療費を抑えることに繋がります。

では残っている歯の数が多いことで、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか。

 

・歯の健康が体の健康に繋がる

残存歯が多いとしっかりと食べ物を噛むことができます。またしっかり噛むことは脳を活性化し、認知症を予防することにも繋がります。

特に70歳以降は歯周病が進行しやすくなる傾向が強く、定期検診を受診することが歯周病の早期治療や進行を抑制することができます。定期検診をしっかり受けていると残存歯数が多く、しっかりと噛めることが体の健康を守ることになり、医療費削減に繋がります。

 

・嚥下機能を維持できる

残っている歯が少なくなるとその分大きな入れ歯になり、しっかり噛むことが難しくなります。また入れ歯では食べにくいからと入れ歯を外して食事することも多くなり、歯ぐきで噛んで食事をする人も出てきますが、その結果飲み込む力が低下してしまいます。

残存歯が多いと、自分の歯でいつまでも美味しく食事することができます。しかし残存歯が少ないことで嚥下機能にも影響してしまいます。その結果誤嚥性肺炎になってしまうなど、様々な影響が出て医療機関を受診することになってしまいます。

 

■体の機能が低下すると、その分医療費が必要になる

体の健康は、お口の中の健康から始まります。ご自身の歯でしっかりと噛んで美味しく食事を摂ることが、体の健康を保つ大きな秘訣です。ところが残存歯が少なくなると、噛む機能が低下し、認知症や体の機能の低下を招いてしまい、医療機関で受診する機会が多くなってしまいます。その結果医療費が必要となり、最終的に生涯医療費が高くなってしまいます。

 

残存歯が多いことは体の健康を守ることから、残存歯数が生涯医療費に深く関わっていることがおわかりいただけたと思います。そして歯を残すためにも定期検診はしっかりと受けるようにしましょう。

日本と国外の予防歯科の認識の差

今では少しずつ予防歯科が浸透しつつある日本。ですが、海外と比べるとその認識度や重要性には大きな差があります。なぜ海外とそのような差があるのか、今回は日本と国外の予防歯科の認識について考えてみました。

 

■歯医者は治療するために行くところ・・・?

「歯医者は歯が痛くなったら行くところ」。皆さんが歯医者に行くきっかけは、どこか歯の調子が悪くなったときでしょう。もちろん、虫歯や歯周病など歯や歯ぐきに異常を感じた場合、早急に治療をすることで早期回復が見込めます。

では、次に歯科医院へ行くのはいつでしょうか。また歯や歯ぐきの調子が悪くなった時ではありませんか?

このように、日本ではまだまだ「歯医者は歯が悪くなったら行くところ」という認識が強い傾向があり、「歯を守るために行くところ」という認識はまだまだ低いように思えます。

歯を守ることが歯の健康を守り、いつまでもご自身の歯で食事や会話を楽しんでいくことが予防歯科の目的であり、今後の歯科治療の主軸を担っていくはずなのですが、残念ながら海外に比べるとまだまだその認識や重要性は低いことが現状と言えるでしょう。

 

■予防意識が高い海外

海外、特に予防歯科先進国ともいえるスウェーデンでは国を挙げて予防歯科を推進しており、世界の中でも特に歯科疾患が少ない国として知られており、日本人に比べて約2倍近い人が80歳で20本以上の歯が残っていると言われています。

厚生労働省が平成23年に行った調査によると、日本人の80歳~84歳における残存歯数は、男性が平均13.6本、女性が平均11.0本と報告されており、スウェーデンと比較するとその差は明らかと言えるでしょう。

また米国も歯の予防意識が非常に高く、アメリカのビジネスマンに「歯やお口の中の健康を保つために虫歯などのトラブルがなくても歯科を受診するかどうか」と質問したところ、76%の人が「受診する」と回答しており、日本人の36%と比べると、やはり日本との予防歯科の認識度の差は明らかです。

 

■予防歯科で何を防ぐことができるのか

では「予防歯科」ではいったい何のために受診すべきなのでしょうか。

歯のトラブルには色々ありますが、その代表は虫歯と歯周病です。虫歯と歯周病は歯を失う2大原因とも言われています。

特に歯周病は痛みなく進行し、気が付けば歯がグラグラと揺れ動き始めて最後には抜け落ちてしまいます。また歯周病は糖尿病や動脈硬化など全身の疾患にも関連していると言われており、お口の中だけでなく全身の健康にも影響する怖い病気です。

予防歯科では虫歯や歯周病の発症を抑えるとともに早期発見、早期治療を目的としており、歯の健康を守るために欠かせない治療なのです。

 

■歯を治すのではなく、歯を守るための治療を受けましょう

日本と海外における予防歯科の認識の差についてお話しました。日本ではまだまだ歯が悪くなってから受診する傾向が強く、まだまだ予防に対する意識が低いと言えます。

歯の健康を守るためにも歯科医院の定期検診を受診し、大切な歯を保つよう意識したいものです。

正しい歯磨きの仕方!

むし歯や歯周病の予防には、日常の歯磨きが欠かせません。歯磨きをきちんと行うことでむし歯や歯周病の原因となるプラークの形成を防ぎ、歯のトラブルを防ぐことが可能です。

そのためには正しい歯磨きが必要ですが、皆様は正しい歯磨きの仕方をご存知でしょうか。

 

■正しい歯磨きの仕方について

毎日何気なく行っている歯磨きですが、ただ「磨いている」だけになっていませんか?歯の汚れをきちんと落とすためには「磨けている」ことが大切です。

 

・歯ブラシの持ち方

効果的に歯を磨くには、まず歯ブラシを正しく持つことが基本です。鉛筆を持つように歯ブラシをもつ「ペングリップ」という持ち方は、歯に適度な力を与える持ち方です。必要以上に力が入り過ぎないペングリップの持ち方がおすすめです。

 

<歯ブラシの当て方と磨き方>

前歯や奥歯の表面は歯ブラシの毛先が当たりやすく、舌で触ってもツルツルしていて「磨いた感」を得られるかもしれませんが、プラークは歯と歯ぐきの境目に付着します。ここがきちんと磨けていないと、歯肉炎などを引き起こす原因になります。

 

・スクラッピング法

歯ブラシの毛先を歯面に90度(直角)に当て、前後に細かく振動させて磨く方法です。

歯全体の汚れを落とすことができる基本的な磨き方です。強くゴシゴシと磨くのではなく、優しい力で歯ブラシを細かく動かすことがポイントです。

 

・バス法

歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当てて、毛先が歯肉の溝に入るようにします。

主に歯肉炎や歯周病の方におすすめの磨き方です。

 

■歯ブラシ以外にも使っていただきたいワンタフト

普段の歯磨きのときに使う歯ブラシ以外に、是非使っていただきたいのが、「ワンタフトブラシ」という特殊な形状の歯ブラシです。毛先が小さなひとつの山のようになっているワンタフトは、インプラント用の歯ブラシとしてよく使われますが、それ以外にも細かい部分や歯の裏側、歯並びが悪い人に適しています。

八重歯がある人は、重なっている歯が磨き辛いためワンタフトを使うと、汚れを落としやすいでしょう。

 

■歯磨きの時間や回数について

歯磨きの回数やタイミングがいまひとつわからない人もいらっしゃるでしょう。食後の歯磨きはできれば行っていただきたいですが、実は最も大切な歯磨きの時間は、就寝前と起床後です。

就寝中は唾液の分泌が減り、細菌の活動が活発になり虫歯や歯周病リスクが高まります。また起床後は最もお口の中が不潔な状態になっているため、就寝前と起床後の歯磨きはしっかりと行うようにして下さい。

 

毎食後の歯磨きはできれば行うようにするとよいですが、昼食後などはタイミングによっては磨く時間がない場合もあるでしょう。もし磨けない場合は、水を飲んでおく、デンタルリンスを持ち歩くなどして対処するとよいでしょう。

金属アレルギーについて

指輪やネックレスなどの貴金属を身に着けたときに肌に湿疹や痒みなどが生じた場合、金属アレルギーが考えられます。しかし金属アレルギーは、貴金属だけで起きるわけではありません。実は歯科治療で使われる金属素材が、金属アレルギーと深く関わっていることがあるのです。

 

■歯科治療における金属アレルギーとは

歯科治療における金属アレルギーとは、歯科治療で使われている金属素材が引き起こすアレルギー反応のことです。歯科治療で使われる金属とは主に保険適用の金銀パラジウム合金やアマルガムで、金銀パラジウム合金は詰め物や被せ物、アマルガムは現在ほとんど使われませんが、昔の歯科治療では詰め物としてよく使われていた水銀を含む金属素材です。

金属アレルギーは、唾液により金属イオンとなってお口の中に溶けだして体内に蓄積され、アレルギー反応となって起こり、近年増加傾向にあるようです。

 

■金属アレルギーの症状について

貴金属による金属アレルギーは症状が皮膚に出ることがほとんどですが、歯科治療が原因の金属アレルギーはお口の中だけでなく、皮膚炎や、アトピー性皮膚炎のように全身の症状となって現れることがあります。

 

・口内炎など口腔粘膜に現れるもの

お口の中にある金属素材が粘膜に接することにより、内頬や舌が赤くなったり、口内炎となって現れる場合があります。

 

・湿疹、アトピー性皮膚炎

お口の中で溶け出した金属イオンが溶けだし、アトピー性皮膚炎や湿疹など皮膚に症状が出る場合があります。特にアトピー性皮膚炎は花粉症やハウスダスト、ダニなどが原因とされていますが、その中のひとつに歯科治療の金属素材があるのはあまり知られていないようです。

 

・脱毛症

金属素材により脱毛症を発症することがあります。ステロイド剤による治療が全く効果がなく別の医療機関で診察を受けたところ、お口の中にある銀歯が原因と診断されて銀歯を取り除いたら症状が改善された例もあるようです。

 

・掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手のひらや足の裏に膿疱ができる症状です。

また爪にも膿疱ができる場合があり、爪の変形や変色を引き起こします。

 

その他にも頭痛や倦怠感など、金属アレルギーはお口の中だけでなく全身の不快症状を引き起こすことがあります。

 

■金属アレルギーの改善法について

歯科治療で使われている金属素材が原因の場合、どのように改善すればよいのでしょうか。

 

・原因となる金属素材を除去する

まず原因となる金属素材を取り除きます。歯科で使われる主な金属は金銀パラジウム合金、アマルガム、そして金属の土台です。その他歯列矯正で使われる装置も金属が使われてます。

これらの金属をまず取り除き、お口の中から金属素材をなくします。

 

・金属を使わないセラミックなどの素材で治療を行う

除去した金属素材の部分に新しい修復物を使って治療を行います。

レジン、セラミックなどは金属を使わないメタルフリー素材です。土台はレジンコアまたはグラスファイバーコアを使用するなど金属を全く使わない治療を行います。

 

なおインプラントの素材で知られているチタンはアレルギーが起きにくい素材で、安心して使えると考えてよいでしょう。

 

■体に優しいメタルフリー治療!

金属アレルギーについてお話をしました。お口の中に金属素材がある場合、時間とともにイオンが溶けだして口腔内や体に色々な悪影響を与える恐れがあります。金属を取り除いたら症状が改善した例も数多くあることから、オールセラミックなど金属を全く使わないメタルフリー治療を行うことがおすすめです。

 

治療を途中で止めてしまうリスク

忙しくて歯医者に行けない、もう痛くなくなったから大丈夫、歯医者通いはお金がかかる・・・。歯の治療は最後まで行わなければいけません。しかし治療中にもかかわらず、何らかの理由で止めてしまった場合どのようなリスクがあるのでしょうか。

 

■治療を中断することのリスク

治療は、必ず最後まで受けなければいけません。治療を途中で止めてしまうとその後の歯や歯ぐきに取り返しのつかないダメージをうけることがあるからです。

では治療を途中で止めてしまうことによるリスクを具体的にご紹介します。

 

・応急処置で止めてしまう

どうしても痛くてたまらないから、と急患で来られた方はだいたい応急処置で終わり、本格的な治療は次回から、という場合は日常的によくあることです。しかし痛みが治まり、応急処置だけで止めてしまった場合、さらに症状が悪化してしまう可能性が高くなります。

 

・根の治療を止めてしまう

虫歯が神経まで達した場合、根の治療を行う必要があります。根管内がすっかりきれいになったあと、最終的な薬を根の中に詰めてぴったりと密閉するまでが根の治療です。

根の治療は根管が完全にきれいになるまで数回に分けて行われ、その間は仮のフタで閉じてあります。根の治療を途中で中断するケースは少なくはありません。この場合、完全に根の中がきれいになっていない状態で治療を止めてしまうことで、根管内に残っている細菌が増殖し、痛みや歯ぐきの腫れといった症状が起こります。

 

・型取りを行った状態で止めてしまう

根管治療を終えたあとは仮のフタを取り除いて土台を立て、噛む機能を修復するための被せ物の型取りを行います。あとは出来上がった修復物を装着するだけ、という段階で治療を中断すると、せっかく作製した修復物が合わなくなり、再度型取りを行う必要があります。

 

・仮歯を入れたまま途中で止めてしまう

仮歯は、最終的な被せ物を入れるまでの見た目をカバーするだけでなく、噛み合わせに不具合を生じさせないという目的も持ち合褪せています。たまに「仮歯の調子がいいから」と途中で治療に来なくなる方もいらっしゃいますが、仮歯は擦り減りも早く、強い力がかかると割れてしまうことがあります。仮歯はあくまで仮の歯です。噛み合わせが不安定にならないためにも、最終的な被せ物を装着するまで治療を受けなければいけません。

 

・歯周病の治療を止めてしまう

歯周病は、歯周病菌により歯ぐきや歯周組織に炎症が起きる病気です。治療法は主に歯石除去ですが、歯肉の下に歯石が付着している場合、歯周病が進行している状態と言えます。この場合、SRPと呼ばれる歯肉の下の歯石を器械ではなく手、動で取り除く処置を数回に分けて行います。

歯が痛いわけではないから、と歯周病の治療を途中で中断すると、歯周病が自覚なく進行し、次に来院したときには前回よりもさらに症状が進行していることは明らかです。

 

■治療は必ず最後まで受けましょう

治療を途中で中断すると、その後必ずお口の中に影響を受けてしまいます。特に根の治療は面倒くさいと思われるかもしれませんが、途中で放置すると再び症状が悪化し、最悪の場合抜歯しなければならない場合があります。残せる歯をきちんと残すためにも、治療は最後までうけるようにして下さい。

なお治療を途中で止めてしまって再び通院し辛い方は、まずはご相談ください。行きにくいから、と他院へ行くと、また最初からやり直しになってしまいます。途中経過を把握しているかかりつけの歯科医院へ行くことが望ましいでしょう。